最近、当院歯科を受診されるワンちゃんで、口腔がん(悪性腫瘍)を診る機会が増えているように感じます。
犬の口腔がんの割合は、体にできるがん全体の6~7%程度だそうです。
猫の口腔がんの割合は、体にできるがん全体の3%程度だそうです。
一方、人間の口腔がんは体にできるがん全体でおよそ1~2%程度だそうです。
これらを踏まえると一見して口腔がんは、高頻度にみられるがんというわけではありません。
全てではありませんが、口の中にできるがんは、体の中にできる胃がんや肺がんなどのように目で見えないがんと違って、目で直接見て発見できることもあるので、早期発見しやすいのですが、動物の場合だと症状を起こすまで飼い主さんが気づかないことが多く、発見が遅くなることもよくあります。
当院歯科の受診を契機にみつかった口腔がんのケース①~④をみると、
①飼い主さんがワンちゃんの口の中にできものがあるということで明確に腫瘍かも?と確信して受診され、口腔がんと診断されたケース
②口臭と歯石が著しく、歯周病だと思い受診され診察すると偶然、口腔がんが発見されたケース
③顔が腫れて受診された際に、炎症を起こしていた原因が、口腔がんだったケース
④他院で歯の周りの炎症だと診断され、投薬を続けていたが、改善せず、当院を受診された際に、実は炎症ではなく口腔がんだったケース
これらに共通しているのは、おおよそ12歳以上の高齢で、なおかつ心臓や腎臓などに持病があり、全身的に問題をかかえたワンちゃんが多かったです。
そのほとんどは既にがんがかなり大きくなっており、残念ながらステージも進んでおり、手術の適応外がほとんどでした。飼い主さんへのがんの告知は、やはり辛いものがあります。
口の中のがんは、進行すると食事がとれなくなるだけでなく、場合により顔面の変形を引き起こし、なおかつ徐々に腐っていくため、飼い主さんが見ていて辛い病気の1つです。
ここで、人間での話になりますが、口腔がんを発見するケースが頻度的に高い職種はご存知でしょうか?
実は歯医者になります。
これは日常的に口の中を診ていることから想像しやすいでしょうか。
口腔がんの中には、初期症状として、表面上は少し白っぽいのに痛みがないことがあり、患者さんが気に止めなければそのまま見過ごされてしまいます。
しかし歯医者に定期的に歯の検診などで受診されていれば、その異常を指摘され、2次病院で精査するといった流れができますので、早期に発見できるわけです。
地域の歯科医師会などが、口腔がん検診を行っているところもあり、早期発見することの重要性が励行されています。
人間で行われていることを、獣医領域でも当たり前にしたい、そう思います。
このような現状を踏まえて、獣医領域でも口腔がん検診の必要性を感じ、副院長と相談した結果、当院歯科では口腔がんの早期発見をスローガンとして、今年より口腔がん検診を開始し、推進させることと致しました。
診査する場合、制限としては、動物の場合、起きている状態では口の中全体をくまなく検査することは困難であることから、基本的には寝てもらうように軽度な麻酔をかけなければなりません。
また高齢に口腔がんが多いことを踏まえて以下の場合での検診を推奨します。
暫定的ではありますが、基本的には歯科診療日にて、予約をとっていただき、日帰りの検診を考えています
軽度な麻酔をかけることで、他科との内容(耳鼻・皮膚など)の検診も可能かと思いますので、そちらも検討します、
検診内容や詳細はまた掲示させていただく予定ではありますが、手遅れになる前に、
少しでも犬・猫の口腔がんの早期発見に役立ち、生活の質を損なうことなく、長生きしてもらえたらうれしいです。
がん検診のご希望の飼い主さんがいらっしゃいましたら、一度、当院歯科へお尋ねください。
なお、当科にて歯科処置を行う場合には、口腔内の検診も併せて行っております。
『疑わしきは検査せよ』
『どんな小さな変化も見落とさない』
をモットーに専門的な知識を活かしてお口を守っていきます。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
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