御世話になります。歯科・口腔外科の江口です。
今回は、私が当院で専門としている『口腔外科』についてご紹介します。
『口腔外科と歯科って一緒じゃないの?『口腔外科ってどんな病気をみてくれるの?』『笠松動物病院の口腔外科はどんなだろう?』など、気になる方もいるかと思いますので、参考までにご覧いただけたらと思います。
いつものようにちょっと余談から話しましょう。
以前に比べると、歯科診療をしっかりしてくれる動物病院は増えてきた印象はありますが、とくにこの動物歯科という分野、専門的な診療ができる動物病院の数は、実情として全国的に決してまだ多くはありません。
お口のトラブルで実際に困っている、できることなら人間のように、専門診療科で診療してほしい、そうしたニーズは一定数あるわけですが、専門診療をしている病院がお近くの地域にない場合は、やはり遠方まで足を運んででも、受診したいと思われる飼い主さんはいるかと思います。
たとえば、『遠方ですが、ホームページに書かれている内容をみて、気になり受診しました』という方が、当院初診の方でも、実際にいらっしゃいますが、それは、その表れと言えるかもしれません。
そんななか、『お口のトラブルがあり、なんとかしてほしい、お口の病気は、ここに来ればなんとかしてくれると聞いた』といった、一種の駆け込み寺のような存在に、当科がなりつつあるように、最近とくに感じています。非常勤医による専門外来という身にかかわらず、そういう意味で、当院の歯科・口腔外科をご評価いただけていることは大変ありがたいことだと感じます。
と、余談はここまでにしまして。本題です。
『口腔外科』とは?その名前のとおり、お口の外科が専門です。
人間の場合、口腔外科と言えば?一番イメージされるのは、親知らずの抜歯手術でしょう。
飼い主さんのなかには、自分あるいは知り合いの深い親知らずを抜いてもらうのに、大学病院や総合病院の口腔外科を受診した経験がある人もいるのではないでしょうか?
ひとくちに抜歯手術というと、内容には大なり小なりありますが、簡単なものから、大変なものまであります。
例えば心臓が悪い、ひどい糖尿病がある、持病で貧血がある、持病で免疫を抑える薬を飲んでいて感染に弱いなど、全身状態が健康な人に比べて悪い方や、80歳や90歳、あるいはそれ以上に高齢の方などで抜歯治療が必要な場合があります。いわゆる抜歯手術する上で、術中あるいは術後に健康上の問題が生じうる可能性があるハイリスク患者さんになりますが、町の歯医者さんでは、そうした方は一般に対応が難しいことも多いです。そういった患者さんに対して、いかに恐怖を与えずに、安全に配慮して、速やかに抜歯し、かつ術中、後の偶発症を少なくする、そういった、ハイリスク患者さんの難しいケースの抜歯も、大学病院や総合病院の口腔外科では対応しています。ほか親知らずが深いなど、非常に抜歯に外科的な技術が要求されるものもあり、大変なものですが、これに熟練しているのも口腔外科です。
つまり『色んな意味で、抜歯手術全般に長けているのが口腔外科』というわけです。
抜歯手術以外ですと、ほかに、口腔がんの治療や、あごの骨折やケガの治療、炎症、顎関節症の治療、お口の機能障害の治療、口内炎の治療など、実はここで書きれないくらい口腔外科で診療している範囲は広いのですが、『歯科は、歯に起こるを病気を解決する診療科』とするならば、『口腔外科は、口のなかやあごに起こる病気を解決する診療科』のような位置づけです。
歯科も口腔外科も、一般には、人間の場合は、どちらも歯科医の免許をもった先生ですが、口腔外科の場合は歯科医のなかでも、『口腔外科医』と呼ばれることもあります。そういう意味で、口腔外科は特殊と言えるのかもしれません。
と、いまお話した内容は人の口腔外科のことですが、かくいう私も、実は獣医である前に人間の歯科医であり、当院でイヌやネコの診療をしている以外は、いまは開業歯科医の常勤で人の歯科治療をしてます。ただ、研修医時代と非常勤時医代は総合病院の口腔外科にいました。(また、今年の4月からは医学部附属病院の歯科口腔外科の医局員になり、これまでになく人の口腔外科にかかわる臨床と研究に従事することになります・・・)。
世にも珍しい獣医と歯科医の二刀流、二足わらじ生活という立場です。
もしかしたら、そのうち、私の勤める口腔外科に、当院で歯の治療をしたペットの飼い主さんが患者さんとして偶然受診され、そこで私が担当医として親知らずを抜く・・・なんてシュチュエ―ションが今後でてくるかもしれません。
とはいえ、山梨県の病院に勤めるわけではないので、ほとんど可能性としてはないですが(笑)
そういうわけで、口腔外科については、当院を受診されたワンちゃんや猫ちゃんには、そうした経験を活かして人間とほぼ同じ内容で診療や手術をしています。
『人間と同じようにやることに意味あるの?』と疑問をもつ方いるかと思いますが、まず前提として犬や猫は人間とほとんど同じ、あるいは非常に似たお口の病気になるという事実があります。ヒトも広い意味では動物ですので。
つまり、お口の病気についていえば、診察、治療法、手術、術後管理など、人間の口腔外科で行うそのままの方法や、その応用法が意外と使えたりします。実際そうしてみると、非常に良い結果につながることが多いのも、実感としてあります。
当科で治療を受けられたペットの飼い主さんからの治療の予後に対するレスポンスを聞きますと、術後良くなったなど、良い反応が比較的多いのはそうしたことの表れなのでしょう。
なので『人間の口腔外科とほぼ同じ質の内容で、ペットの診療をしています』というのがまず当科のポイントです。
診療概要はスライドの内容あるいは、ホームページの高度歯科医療をご覧ください。
次に当科では、診療日を毎週木曜日といった月4日~5日とすることで、フォローアップ体制をとっております。
とくに口腔外科手術後や病気治療中の経過観察(フォロー)は、予後を知る上で、非常に重要です。例えば、月に1日しか診療日がない場合、なにか有事がある、あるいは聞きたいことがあり、担当医に診てもらおうとしても、次は1カ月後の診療日になり、だいぶ先になるということも少なくありません。その間は場合により、担当医ではない先生にフォローしてもらうことになるわけですが、十分に状況把握をしている当事者の担当医がみる方がベストというのは間違いありません。
そうした問題に対応できるよう、当科では週に1日というレベルではありますが、診療日を設けることで、担当医によるフォローアップが受けやすい体制を整えています。経過再診という予約枠があるので、そちらで経過観察の方はご予約いただけたらと思います。
初診から手術、経過観察、終診まで一貫して、私が担当します。
『最善をつくし、かつ、フォローは大切に』
これも当科のポイントです。
最後に、専門外来といいますと、『なにか敷居が高いなぁ』『緊張するなぁ』『先生が専門用語連発してきて内容が理解できなそう』『混んでるから、時間もとられず質問もあまりできないのかな?』『一方的に話されて終わりにならないかな?』などといったイメージを持たれる方はいるかと思います。
当科は専門外来ですが、ペットはもちろんですが、なにより飼い主さんが緊張されないような雰囲気をできるだけ作っています。やはり緊張していると質問したくても聞けないこともあるものです。
専門用語は極力使わず、かみ砕いた表現をして日常のものごとで例えたり、写真を供覧いただいたりして、難解なお話も、できるだけ、飼い主さんの腑に落ちるような説明をしています。
敷居をなるべく低くするように意識していますので、ぜひ、かしこまらずに受診いただけたらと思います。
そして、カウンセリングは非常に大事にしていますので、とにかく不明点、不安な点などは遠慮なくご質問してください。
話の合間に、自分のお口の悩みを相談されてもいいですよ(笑)当院では、人間の診療はできませんが(笑)
『専門外来であっても敷居は低い』これも当科のポイントです。
以上、当院の口腔外科についてご紹介しましたが、なんとなくどんなものか、ご理解いただけましたでしょうか?
受診にあたり参考になりましたら幸いです。
口腔外科に関係する細かな病気については、また別の機会の御紹介したいと思います。
最後に、歯科にまつわるいくつかの動画をyoutubeに上げています(限定公開)が、当院ホームページからの閲覧できます。閲覧方法は、『お知らせ』にある動画告知の画像のクリック(画像をクリックと表記されています)することで、動画に飛べますので、ぜひご覧ください。
今年も何卒よろしくお願い申し上げます。
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