御世話になります
歯科・口腔外科の江口です
突然ですが、飼い主のみなさんは、『歯周ポケット』というワードを聞いたことがありますか?
おそらく、TVで流れる歯ブラシや歯磨き粉のCM、お口の健康を取り上げた健康雑誌やネット記事などで、どこかで1度くらいは『歯周ポケット』というワードを目にしたことがあるのではないかと思います。
歯周ポケットとは?
『歯周病がすすむと、だんだん深くなる、歯と歯ぐきの境い目にできる深い溝のことです』
この溝のなかには、歯周病菌などのばい菌が、たくさんひそんでいますが、溝の奥深くまでは、歯ブラシや、うがい薬などは届きません。
そこはまさしく、『ばい菌たちにとって住み心地の良く、邪魔の入らない楽園』となっています。
ばい菌の楽園になっている、この歯周ポケットのなかは、お口にとっての、ばい菌の温床であり、そこは、炎症が起きている事件現場みたいなところです。
こんなに悪い状態になっている歯周ポケットの中ですが、中がどうなっているかなど、お口をみたところで、まず直視できません。ここが超重要なポイントです。
どういうことかというと?イメージとしては、洋服やズボンのポケットを思い浮かべてください。ポケットにいくらか硬貨が入っていたとしましょう。
ポケットに何円入っているのか?ポケットを外側から見ただけで、分かる人はまずいないですよね?つまりポケットの中身は外側からでは直視することはまずできません。
もしできたら透視能力者です(笑)
ですが、ポケットをめくって中を見てみれば、何円が入っているのかが、分かりますよね。つまりポケットの中身はめくることで直視できるようになります。
歯周ポケットも、そういうものだと思ってください。ふだん直視はできませんが、ポケットの歯ぐきがめくれると、直視できるようになります。
さて、冒頭の写真をみてください、この写真の子は下の前歯部分で、歯周病がすすんだワンちゃんです。歯ぐきを少し引っ張ると、隠れた歯周ポケットのなかが見えるようになったケースです。
※(注)ふつうの健康な歯ぐきは、硬く引っ張ったくらいではめくれません、歯周病がすすんだ歯ぐきは、引き締まりがなく、むくみでブヨブヨ・ユルユルなので、こんな状態にめくれることがあります。
ふだんは直視できない歯周ポケットのなかが、歯ぐきがめくれたことにより、あらわになりました。
そうすると、写真から、以下の2点が分かります。
『歯ぐきで隠れていた歯の部分にも、歯垢や歯石といった汚れがついている』
『ポケットのなかで炎症が起き、歯ぐきの中がただれている』
この2点は、この写真の子に限ったことではなく、じつは歯周病がすすんでしまうと、ワンちゃん、ネコちゃん、そしてわたしたち人間にも共通して起きることです。
ぜひこの事実を、写真をご覧になりながら、十分に認識していただければと思います。
さて、『歯周ポケットができている場合、どんな問題が起こるか?どんな懸念があるか?ふだんの生活でどんな症状が起こるか?』
これらについては
★当院ホームページの歯科レポート#『抜歯の意味を知るPart.1~7まで』
★ホームページお知らせコラム #動画『歯はキレイなのに、口がくさくて歯ぐきが赤いのはなぜ?』
をぜひご覧になってくださいね。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます
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