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下あごの先が腫れてたら、あごの骨がヤバい状況かも!

筆者

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江口淳先生

歯科医と獣医のダブルライセンスを保有し、高度歯科医療を施せるスーパードクター。
最近では『2023年度関東・東京合同地区小動物獣医学会』でも登壇され、益々の活躍が期待され、多方面でも注目されています。

スライド8

『下あごの先が腫れてたら、あごの骨がヤバい状況かも!』

御世話になります、当院歯科・口腔外科の江口です。

今回のコラムは、『下あごの先が腫れていたら、実はあごの骨がヤバい状況かもしれない・・・』という内容で、お送りしたいと思います。

ところで、『ヤバい』という、およそ医療に似つかわしくないフランクな表現をあえて使いましたが、ここでのヤバいの意味は、『深刻な状態・危険な状態』だと思ってくださいね。私の診療を受けたことのある飼い主さんは、たぶんお気づきかもしれませんが、私、話を難しく堅苦しくして、飼い主さんにお話するのは、あまり好きじゃないので、この切羽詰まった感じを、堅苦しくないように、うまくお伝えしたくて、あえてヤバいという表現にしてみました(笑)。どうぞよろしくお願いします。

さて、冒頭の写真ですが、先日診療した、ある病気が原因で、下あごの先がブクッと腫れてしまっていたチワワちゃんです。『なにが原因?どうして腫れていたの?あごの骨とどう関係あるの?』これは、最後にわかりますよ。

ではまず、私がいう犬や猫の下あごの先とは、どこの部分なのか?といいますと、『下あごの先端で、下唇よりも下側にある部分』です。これは、人でいうオトガイ(下あごの一番出っ張っている部分)に相当します。『その部分が腫れた状態が、下あごの先の腫れになります』。ここが腫れてしまう原因には、虫刺され、かゆみによる引っかき傷、アレルギーなどがありますが、『お口の病気が原因で、腫れてくる場合が少なくありません』。とりわけ、『下の前歯付近で、あごの骨を溶かしてしまうような、お口の病気が原因になることが多い』印象です。『あごの骨を溶かすお口の病気って?もしかして?歯周病もそう?』と思った飼い主さん、その通りです。それについては、のちほど。

では、なぜ、あご骨を溶かすようなお口の病気で、腫れてしまうのでしょうか?

たとえば、あごの骨を溶かす原因別に、代表的なお口の病気をあげますと、①炎症によるもの『歯周病』・『骨髄炎:こつずいえん』 ②腫瘍によるもの『口腔がん(口腔悪性腫瘍)』・『口腔良性腫瘍)』③のう胞によるもの『顎骨のう胞』があります。

炎症によるもの

お口の炎症は、ほとんどの場合、『お口のなかのばい菌が悪さすることで起こります』。たとえば、歯周病は、歯周ポケットにいるばい菌による悪影響で、歯ぐきが腫れたり、ひどいと歯のまわりの骨が溶けてしまう炎症を起こす病気です。歯周病では『急性発作』とよぶ炎症の増悪症状があると、歯ぐきが腫れるだけで済まず、炎症がひろがり、あごまで腫れることがあります。つぎに、骨髄炎(下あごの骨髄炎のこと)は、そのほとんどが、ばい菌が関係する歯の病気から、あご骨のなか深くにばい菌が入りこみ、骨のなかで炎症を起こす病気です。歯周病がきっかけで起きることもあり、炎症で骨が溶けたり、腐ったり、化膿したりすることで、骨を超えて、あごを腫らすことがあります。

②腫瘍によるもの

お口にできる腫瘍は、『口腔悪性腫瘍、いわゆる口腔がん』や、『口腔良性腫瘍』があります。とくに歯ぐきにできる口腔がんは、あご骨を激しく壊すものが多く、進行すると、がんが骨を突き破ってきて、あごまで腫れてくることがあります。口腔良性腫瘍は、あご骨のなかにできるタイプもあり、腫瘍が大きくなるにつれて、骨を壊すというよりも、骨をじわじわ溶かしながら、外側に張り出してくることで、あごが腫れることがあります。

③のう胞によるもの

のう胞とは、『体のなかに、ふくろができる病気』です。ふくろの中身は液体だったり、塊だったり、いろいろです。なかでも、あご骨のなかにできるのう胞を、『顎骨のう胞(がくこつのうほう)』といいます。顎骨のう胞は、良性腫瘍のように骨のなかで、骨をじわじわ溶かしながら、だんだんと大きくなるものがあります。そうすると、のう胞により、まわりの骨が薄くなってペラペラになってきたり、そこから骨をぶち抜いて穴があくなどで、外側に張り出してくることで、あごが腫れることがあります。とくに小型犬(チワワなど)では、生えてこれなかった歯(埋伏歯:まいふくし)が、あると、それが、顎骨のう胞のなかに、含まれていることもあります。

さて、上記のような、あごの骨を溶かすお口の病気が、『下の前歯付近に発生した場合、下あごの先は近辺にあるため、病気の状態によっては、その影響をモロに受ける』ことになります。とくに、下あごの先が腫れてくるレベルというのは、病状がかなり進行(重症化)し、固いはずの骨がひどく溶けて深刻なほど弱っており、骨がペラペラに薄くなったり、骨がぶち抜かれて穴が開いていたりして、あごが今にも骨折しそうな状態のことがままあります。あまりにひどいと、前歯付近のあご骨が溶け切ってなくなっていることすらあります。

つまり、『下のあご先が腫れるレベルあごの骨がすごくヤバい状況かもしれない』というわけです。ちなみに、こうした病気の影響をもろに受けてしまうのが、骨の厚みが薄い小型犬たちです。これは前回のコラム『あご折れ注意報』に通じるものかと思いますので、ぜひそちらも御覧いただけたらと思います。

では最後に、いまお話した内容をふまえて、実例として、冒頭の写真にあります、チワワちゃんの下あごの先が腫れた原因について、ご説明しましょう。この子は7でしたが、下あごの先の左半分が以前から腫れっぽく、最近になって大きくなってきたいうことで、当科を受診されました。スライドの6枚目をご覧ください、お口のなかをみますと、あごが腫れてる左側の歯ぐきも大きく腫れていて、そこには、7歳にもかかわらず、本来、抜け落ちるはずのこどもの歯である、乳歯の犬歯が生えていましたが、おとなの歯である永久歯の犬歯は生えていませんでした。そこで、その場所のレントゲンをとると、左側の前歯部分のあご骨のなかが、ひどく溶けており、それが、左側のあご先まで広がって、骨がペラペラに薄く、一部骨をぶち抜いていました。その溶けた骨のなかに、生えていない大人の犬歯が含まれていたのです。じつは、この腫れの原因は、『左の大人の犬歯が埋伏歯で含まれた、顎骨のう胞』でした。そのため、大人の犬歯が生えてこれなったわけです。写真をご覧いただくと、空洞に入っている大人の犬歯がわかりますでしょうか?この空洞にみえるのが、顎骨のう胞です。この顎骨のう胞が、骨を溶かしながら、骨のなかで、だんだん大きくなり、ペラペラになった骨をぶち抜いて、骨に穴があき、それが外側に張り出したので、その近辺の歯ぐきやあご下の先が腫れていたというわけです。一部骨がひどく溶けすぎて、あごが骨折しそうなほど、ヤバい状態でした。この子は手術で、原因の顎骨のう胞(埋伏歯含む)を摘出しました。スライド7枚目にあります、初診時と術後2週間の顔写真を比較して御覧いただとよく分かりますが、原因を除去したことで術後は腫れが解消されて、あご先の毛の少ない範囲が、左右対称になっています。この子のように、概ね1歳(個体差あり)を超えても、大人の歯が生えていない場合は、埋伏歯になっている可能性もあり、顎骨のう胞を発見する手がかりになることもあります。歯が生えない理由はいくつかありますので、以前書いた歯科コラム『歯が生えてこない・・なんで??』もご覧いただけたら幸いです。

さいごに、下のあご先に限らず、下あごが腫れていてそれが、治らなかったらまず、今回のお話したような、骨が溶けるお口の病気を第一に疑いましょう。理想は、あごが腫れる前に、お口の病気を解決して、最悪のケースである、あごの骨折など起きないように、被害を最小限に食い止められると良いですよ。

あごが腫れるような症状がもしあったり、そういった懸念に対するご心配があれば、専門的な精査加療を行いますので、どうぞ遠慮なく当科へお越しください。

引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。

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江口淳先生

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