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『おじさんが痰をきるような短い咳をしてたら鼻の病気が原因かも・・・』

筆者

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江口淳先生

歯科医と獣医のダブルライセンスを保有し、高度歯科医療を施せるスーパードクター。
最近では『2023年度関東・東京合同地区小動物獣医学会』でも登壇され、益々の活躍が期待され、多方面でも注目されています。

『おじさんが痰をきるような短い咳をしてたら鼻の病気が原因かも・・・

御世話になります、歯科・口腔外科の江口です。

さて、今回のコラムのお題をみて、まず、『は??』と思った方、ほとんどではないでしょうか。

おじさん?咳?鼻?いやいや意味不明・・・』『歯とまったく関係ない話じゃないの』『歯の先生がなんでそんな話するの?』まぁそう思うのは当然です。

なんでこんな話を、私がするのか、のちほど分かりますので、ぜひ最後まで、読み進めてみてくださいね。

ちなみに、今回の内容は、私の日常の診療経験に基づき気づいたことをのせており、私見が含まれますので、おそらく一般的ではありません。

腑に落ちた部分だけ、どうぞ汲み取っていただけたら幸いです。

さて、本題の前に、まずは余談をさせてください。

あまり知られていないかもしれませんが、当科では、ワンちゃんや猫ちゃんの、歯などお口に関係する病気以外に、『鼻のなかの病気も治療しています』。

主にその対象になるのが、『慢性鼻炎』や『慢性副鼻腔炎(俗にいう蓄膿症)』です。

歯科・口腔外科が専門なのに、鼻炎や副鼻腔炎も診療してるのは、どうしてでしょうか?

この詳細は過去の歯科コラム、

#鼻のなかを手術する

#色のついた鼻汁でてませんか?

にも説明してますので、ぜひご覧になってください。

まず背景として、当科を受診するワンちゃんは、小型犬とくに高齢の子が多く、歯周病が重症化していることが珍しくありません。そうした子たちは、上あごの歯周病が原因で、鼻と口を隔てる骨に穴があき、口と鼻につながるトンネル『口腔鼻腔ろう:こうくうびくうろう』ができてしまい、口のばい菌が、そのトンネルを通して、鼻に悪さをして、結果、慢性鼻炎を起こしているケースが圧倒的に多くみられます。いわゆる歯の病気が原因で鼻炎になってしまう、『歯性鼻炎:しせいびえん』という状態です。

にわかには、信じられないかもしれませんが、この1年間に当科を受診したうちの100頭以上の小型犬が、重度の歯周病が原因で歯性鼻炎を起こしてました。私は週1~2日しか当院に在院していませんが、予約受診で処置数や診察数も限られる状況下で、ほぼ毎週、歯性鼻炎の子がいる状況です。これをふまえて、この数は非常に恐ろしいと感じます。おそらく歯周病からくる歯性鼻炎を患った小型犬の子たちは、見逃されたり、気づかれないだけで、県内にだけでも、その倍以上いると私は、推測してます。こうした歯性鼻炎の場合は、歯の処置と併行して、鼻腔外科処置を同時に行い、鼻症状の改善も行うため、歯科・口腔外科の専門分野になります。加えて、ワンちゃん猫ちゃんの、歯が原因ではない難治性鼻炎や副鼻腔炎の場合でも、当科の手術方法(経口的鼻腔外科手術)で軽快することが、この数年でわかってきましたので、飼い主さん希望があれば、これらにおいても当科で診療し、鼻腔外科として、専門的加療を行っているというわけです。

さて余談が長くなりましたが、ここからが、本題です。こうした経緯で、鼻炎や副鼻腔炎のワンちゃん猫ちゃんを、日常的にみていますと、気づく点として、くしゃみや鼻汁の増加色のついた鼻汁粘り気のある鼻汁鼻を床にこすりつける行為などの、鼻症状が出ていることが多いです。

そして、それに加えて、鼻の症状と別に、よくあると気づいたのが、痰を切るときにするような、『カッ』という『短い咳』の症状です。

これは勝手な私のイメージですので、伝わらなかったらすみません(笑)。よく、おじさん?おじいさん?が痰をきるときに『カッ』と、いう短い咳をすることありませんか?そんなイメージの短い咳です

ワンちゃん猫ちゃんが、なぜ?こんな咳をするのか?大変気になるところですが、これが、不思議なことに、『鼻炎や副鼻腔炎による鼻症状が改善すると、この咳が軽快、あるいはなくなる』ことが分かってきました。咳といったら、それこそ、気管支炎や喘息、肺炎などが有名ですが、この咳はそれとは、また違うタイプです。そこで、鼻症状があると、人間でも同じようなことが起こるのか、比較してみたところ、どうやら、人間の場合、この短い咳は、鼻炎や副鼻腔炎と関係があるようです。

たとえば、誰しもが1度は、風邪ひいたときに、鼻水が増えたり、ねばっこくなって、のどの奥まで鼻水が垂れてきた経験あるのではないでしょうか?このとき、のどの奥の鼻水を出そうとして、痰をきるように『カッ、ペッ』とした短い咳払いをすることもあったのではないでしょうか?こういう、のどの奥に鼻汁が垂れてくる状態を『後鼻漏:こうびろう』と呼び、鼻炎とくに慢性副鼻腔炎(蓄膿症)が原因でよく起きるそうです。

ということは、もしかしたら、鼻炎や慢性副鼻腔炎になっている犬猫も、ヒトと同じで、後鼻漏になっているのかもしれません。これは、動物に聞けないので、確かめるすべはありませんが、鼻炎や副鼻腔炎の改善と同時に、この咳の軽快が犬猫でも起こるということは、私的にその可能性が高いと考えています。

さて、鼻炎ならまだしも、ワンちゃん猫ちゃんの咳がもし、副鼻腔炎のサインだったとしたら・・・要注意です。副鼻腔炎は決して甘くみてはいけません

副鼻腔炎は、人間だと耳鼻科の先生がご専門です。余談になりますが、じつは私、今夏前に風邪をこじらせ、急性の副鼻腔炎を経験しました。頭痛、鼻づまり、においが全く感じない、ねばっこい鼻汁、後鼻漏、大量の痰でかなり苦しみました。なにが辛かったといえば、頭痛と、においがゼロの1週間です。耳鼻科の先生にお世話になり、鼻通りをよくする処置をしていただいた後に、こんなに楽になるなんて・・としみじみ思った次第です。副鼻腔炎で苦しむ動物たちの気持ちが少しわかった気がしました。

ところで、人間の場合、歯科医が治療に関与する副鼻腔炎が、じつはあります、それが『歯性上顎洞炎:しせいじょうがくどうえん』という副鼻腔炎です。これは上あご奥歯の虫歯、歯周病によって、上顎洞という副鼻腔にばいきんが入ってくることで起こる、歯性の副鼻腔炎です。原因は歯なので、この治療は歯科医、あるいは、耳鼻科医と歯科医の共同で行われます。上奥歯がうずく、腫れる、歯がぐらつく、そして、副鼻腔炎の症状もあったら、歯医者さんでぜひ調べてもらってください。CT検査があると、ほぼ分かりますよ。

さて、ワンちゃん猫ちゃんの話に戻しましょう、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)は放っておくのは、決してよろしくありません。

慢性副鼻腔炎による鼻づまりがあまりにもひどくなると、今度は鼻呼吸がまともにできなくなり口呼吸をする頻度が増えてきます。それが原因で、寝れなくなる子もいるほどです。端からみても明らかに苦しそうと思うことも少なくありません。さらに、ばい菌が悪さして増悪すると、副鼻腔に膿がたまってきて、おでこや眉間の間、目まで腫れてくることがあり、また、それらのばい菌汁により、咳がひどくなり、気管支炎や、本当に深刻なケースでは肺炎になることもあります。だいたいそうしたケースは、漫然と抗生物質を年単位で使い続けて、耐性菌ができ抗生物質が効かなくなった、高齢のワンちゃん猫ちゃんに多い印象です。ですので、抗生物質は安易に長期間使うものでは決してありません。もしすべての抗生物質が、悪さする耐性菌に使えないと、肺炎では完全に詰みますので、ぜひ覚えておきましょう。

ということで、慢性副鼻腔炎では、抗生物質で長期ひっぱらない、そうさせないのがベストだと、私は考えています。

使える抗生物質の選択肢は残しておきながら、鼻環境を改善させ、鼻呼吸ができるようにし、増悪を防ぐ、その手段として、手術という選択肢があります。

1例として、経口的な鼻腔外科手術で慢性副鼻腔炎が軽快した猫ちゃんのケースをあげます。9枚目のスライドをご覧ください。この子は、数年前から副鼻腔炎があり、薬でも改善しないとして当科を受診しました。右鼻に鼻つまり、濁った鼻汁がでて、咳症状もあり、お薬で改善が見込めなかったため、飼い主さん合意の上、右側のみの経口的鼻腔外科手術を行いました。結果、術後1ヶ月も経過すると、鼻呼吸と咳症状の改善、鼻汁もでなくなり軽快しました、術後3ヶ月の写真が右側です。

あまり、このような、副鼻腔炎に対する鼻腔外科手術という手術じたいが、一般的ではないようですが、鼻のなかの構造が、慢性の炎症で変形しているケースもあるため、物理的に鼻環境を整える処置として、非常に有利だと私は考えています。当科では、一般的な手術法ではなく、口のなかから手術するので、傷の治りも早く、顔を傷つけない方法で行います。ただ、手術したからといって100%治るわけではありませんが、鼻通りがよくなり、においもかげて、鼻呼吸しやすくなるだけで、QOLは術前より改善した子が、正直ほとんどです。また、増悪による肺炎を防ぐという意味でも、手術する価値はあると考えますが、麻酔リスクや手術リスクも伴うため、飼い主さんと、よく話をして本当に希望のある方にしか、基本的に勧めていませんのでご留意ください。

今回も話が長くなりすみません。

ワンちゃん、猫ちゃんで、『#カッという短い咳』『#鼻の症状』この#が当てはまった場合は、鼻炎や副鼻腔炎(歯性も含む)があるかもしれませんので、ぜひ当科を受診してみてくださいね。

とくに小型犬で上記#の場合は、歯周病が原因の歯性鼻炎をまずは、疑ってみましょう。

今後とも引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。

筆者

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