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小型犬のあご折れ注意報

あごが溶けて折れる怖い歯周病

コラムのご紹介

歯周病→顎の骨折のイメージをなかなか思い浮かぶ飼い主さんは多くないかもしれませんが、歯周病の何が怖いかってこの骨折なんです。
しかも、歯周病による骨折は普通の骨折と違って治らない事が多いのです。さらに怖いのが、こうなってしまう手前で来院する歯周病の子って非常に多いのです
今回の江口先生のコラムではこの辺りの話題に触れていますので、是非ご覧ください。
笠松和洋 副院長

笠松和洋 副院長

「診断の8割は飼い主さんとの会話」をモットーに​、二次診療施設と連携し、あらゆる角度から飼い主さんやペットにとって最良の治療を目指す街の獣医さん。
2023年4月より麻布大学付属動物病院 整形外科専科研修医

筆者

江口淳先生

江口淳先生

歯科医と獣医のダブルライセンスを保有し、高度歯科医療を施せるスーパードクター。
最近では『2023年度関東・東京合同地区小動物獣医学会』でも登壇され、益々の活躍が期待され、多方面でも注目されています。

『小型犬のあご折れ注意報~あごが溶けて折れる怖い歯周病~』

御世話になります

歯科・口腔外科の江口です

最近たて続けに、小型犬のあごの骨折が相次ぎました。そのほとんどがシニアの小型犬であり、『奥歯の歯周病で、下あごの骨がひどく溶けたことが、骨折の原因』でした。信じられないかもしれませんが、こうした『歯周病が原因であごが溶けて折れてしまう、とくにシニアの小型犬は少なくありません』。こうした状況をふまえ、1人でも多くの小型犬の飼い主さんに向けて、歯周病の怖さ、『あごが溶けて折れる』を認知いただくことを目的に、今回のコラムで注意喚起できればと思います。

まず、一般に、犬の歯周病というと、多くの飼い主さんにとって、歯に汚れがついて、『口が臭くなるもの』『歯ぐきが赤く腫れるもの』『歯ぐきから血がでるもの』『歯がぐらつくもの、歯が抜けるもの』と認知されているのではないでしょうか?歯周病という名前から、いかにも歯だけに限定した病気と思われがちです。しかし、『とりわけ小型犬にとっては、あごといった顔面の骨までが溶けてしまう病気』です。歯周病は、歯だけで済まない怖い病気です。では、小型犬にとってなぜそうなのか?その理由は歯とあご骨の厚みに関係があります。詳しくは当院HPの歯科レポート『#抜歯の意味を知るPart.7前編』にイラストつきで、説明しています。また、HPお知らせにある歯科コラム『#下あごが横にずれて、食べにくそうにしてたら・・・それやばいかも』にも、紹介していますので、上記歯科レポートと歯科コラムを、このコラムを読む前か読んだ後に、ご一読いただけたら幸いです。

これまでに、あごが折れてしまった小型犬を何度もみてきましたが、骨折の程度がひどい場合ですと、『★あごがずれる、噛み合わせの異常』『★元気がなくなる』『★水がうまく飲めない』『★うまく食事が食べられない』『★舌がうまく動かせない(舌が出たままなど)』『★口を閉じられない』『★口が閉じれず、よだれがあふれてくる』などが症状として出ることもあり、重症な場合には水も食事もとれずに衰弱してしまうこともあります。あごの骨折は、単純に折れた痛みだけでなく、お口の機能を障害することで、生活の質を著しく下げてしまいますので、ワンちゃんにとって辛いだけでなく、その姿をみている飼い主さんも、同様につらいものです。

一般的にあごが骨折する原因の多くは、『あごに強い衝撃を受けてしまうことが原因』です。たとえば、交通事故、ケンカ、転倒、高いところから落ちてしまう、などで強い衝撃を受けて折れる、つまり急なケガです。急なケガをするのは一般に、突然ですよね。ですので、こうした骨折は、ある意味、注意していても、運悪く起きてしまうものでもあり、予想できません。一方で、あごの骨を溶かしてしまう病気が骨折の原因になることもあります。これは、骨が溶かされる病気により、骨そのものの強度が弱くなります。すると少しの力が加わっただけで折れたり、ひどい場合には、自然に折れてしまうもことあります。こうした病気で、骨が折れてしまうものを『病的骨折:びょうてきこっせつ』といいますが、『病的骨折を起こす病気の1つが、歯周病』です。歯周病が進行していくと、歯のまわりの骨を溶かしますが、ひどい場合には、その先のあごの骨まで溶かしてしまいます。限度がくると、溶けて細く薄くなり弱ったあごの骨が、少しの力で、あるいは、自然にポキッと折れるわけです。一般に、歯周病は、時間をかけながら、じわじわ骨が溶け広がっていきますので、時間が経てば経つほどに骨が折れやすくなります。なので、急なケガのように、運悪く起きてしまうものとはいえません。この病気に対して、なにもしなければ、時間でいつか折れると、『予想できる骨折』といえるのではないでしょうか。

こうしたことから、私見ですが、『歯周病によるあごの骨折は、予想できるため、その対策をすれば、避けられる可能性が高い』と考えます。私が考えるその対策とは?具体的に挙げますと、まず『★歯周病があごを骨折させる怖い病気だと飼い主さんに認知いただき、歯周病への警戒心をもっていただく』ことに加え、『★歯周病の予防をする』『★歯周病に対して適切な歯周病のケア(セルフケア・病院での歯周病治療)で進行を防ぐ』『★歯周病の有無や程度(進行度)はレントゲンを撮って確認する』『★あごが折れる危険がある(予期される)重度歯周病の歯は無理に残さない(抜歯する)』『★抜歯後にあごが折れるリスクの高い場合には、補強や骨造成をする』などといった対策があります。

実際、こうした対策を当科で、実践していますが、受診時にすでに骨折していた子を除けば、受診により骨折を避けられた子が幸いほとんどです。ちなみに対策のうち、とりわけ、レントゲンを撮るということは、きわめて重要であり、見た目で分からない、歯周病で溶けた骨の状態を知るためには、必須の検査です。余談ですが、歯の汚れ具合(歯石や歯垢)といった見た目だけで、歯周病の状態を判断してしまいがちな飼い主さんや動物病院の先生も少なくありません。例えば、歯が汚れてるほど、歯周病はひどい、キレイなほど歯周病はひどくない、といった判断ですね。確かに汚れの程度も参考にはなります。しかし実際には、歯がキレイなのに、レントゲンを撮ると歯周病がひどく骨がかなり溶けているというケースや、逆に歯が歯石だらけでひどく汚れているのに、歯周病は軽く骨はたいして溶けていないというケースも少なくありません。つまり『歯の汚れという、ただの見た目だけで、レントゲンもなしに、歯周病の状態を判断するのは当てにならないこともある』ということです。ちなみに、これは、人間の歯周病でも同じです、ぜひ覚えておいてください。

さて、最後に、歯周病からあごの骨折をしかけていた小型犬の実例、そしてそのとき行った対策についてご紹介します。

スライド4枚目の写真をご覧ください。このワンちゃんは、シニアのトイプードルで、数年前から『右あごの下が腫れて、皮膚から膿が出る』ことを繰り返しており、そのことで、他院に通院されて皮膚症状に対するお薬が長期間出されていたという子です。同症状が改善しないということで、当科を受診しました。写真の右奥歯に注目してください、御覧のとおり、この歯はさほど汚れていません。つぎにスライド5枚目の写真をみてください。左側が、初診時に撮ったあごのレントゲンです。汚れの少なかった、さきほどの右奥歯ですが、〇で囲ってあるように、歯の根っこ部分から下あごの縁まで黒く抜けている部分があります。本来、レントゲンでは、骨は白くうつるはずですが、こうして黒く抜けているのは、そこの骨が溶けてしまったことを意味します。これは、あごの骨が折れかけている状態でした。その原因になったのは重度の歯周病でした。下奥歯の歯周病により、あごの骨まで溶けて慢性骨髄炎という骨を腐らす病気まで進行して、骨が弱くなり折れかけ、あごの化膿が続き、その膿が骨をぶち抜いて、皮膚から出ていたのです。もうすこし時間が経っていれば、まず、確実にあごは折れていたでしょう。こうして歯周病の病的骨折は起こるのです。ちなみに今回のように、『あごが腫れたり膿が出ることが続くようなら、病気であごが折れる前兆の場合もあります』。こうした症状がある場合は、とくに注意しましょう。この子は、ギリギリで、あごが折れていませんでしたので、対策のうち、歯周病治療や抜歯、骨髄炎の処置に加え、骨が折れそうな場所には、なるべく速やかに骨ができるように、お口からとった骨(自家骨)など用いて『骨造成』という骨の再生治療を行いました。右の術後2.5か月の経過レントゲン写真をみていただくと、骨が溶けて黒く抜けていた部分が、骨が再生して白くなってきていることがわかります。この子は無事、骨の強度も戻り、下あごが腫れることも皮膚から膿がでることもなくなり、経過良好で治癒しました。

もし不幸にも、あごが折れてしまっていた場合は、折れた骨をつなぐ手術が、必要になります。ただし、とくにハイシニアの子では、持病があり、全身状態が悪い子も少なくありません。その場合、骨折手術は侵襲(手術ダメージ)が高く、手術がハイリスクになることが多いです。それだけでなく、小型犬では、歯周病でボロボロに溶けて細く折れた骨をつなぐのは容易ではありません。骨をつないでも、弱った骨は、治りが悪くいこともあり、骨の状態が悪いと骨が腐りはじめるため、ひどい場合には、あご骨をとる場合や、再建手術も必要になります。これが歯周病の骨折の怖さです。

犬や猫の歯周病は、人間同様に、高齢ほど進行しやすく、重症化しやすい印象がありますので、とくに、シニアの子ほど、歯周病予防やケア、定期的な検診などが、望ましいと考えます。『歯周病は沈黙の病気』ともいわれ、表立った症状はなくとも、進行する病気です、ご注意ください。

いかがでしたでしょうか?小型犬にとって、歯周病が、いかに怖く注意が必要な病気かご理解いただけましたでしょうか?

今後も耳にタコができるくらい、この話題を発信していきますので、『それ、知ってるよ』と小型犬の飼い主さんの認知度が増えれば、歯周病への関心度が高まり、結果、こうした小型犬のあごの骨折が減るのではないかと期待しています。私ができることは、ここで発信するなど微々たるものですので、どうか飼い主さんどうしで、知らない方には、『歯周病とあごの骨折』の話題を教えてあげていただけますと、幸いです。そして、認知度を増やし、小型犬のあごの骨折を一緒に減らしましょう!

すみません、長くなりましたが、本年も引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

筆者

江口淳先生

江口淳先生

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